こんにちは!Q太郎です。
ロードバイクを購入してあちこち走りに行くようになると知識も増えていき憧れのパーツも増えていきますよね。かく言うQ太郎もその一人で中でも「憧れパーツの王様」だったのがカーボンホイールでした。カーボンディープホイールは意味なく無条件にカッコいいと思うのは僕だけではないはず! とは言えとにかく高額商品なのでおいそれと購入できないパーツでもあります。そこで工作好きな心が疼いて一度はやってみたいと思っていた手組みホイールを中華カーボンリムを使って組んでみようと思ったのが今回の話の趣旨です。
以下の作業はQ太郎がかつて行った手組みホイールの製作過程で気がついたことそして失敗したことを時系列で書き連ねてみます。今現在手組みホイールの製作を行おうと考えている人にはシミュレーションとして、手組みホイールなんて微塵も考えていない人には読み物として読んでいただければ嬉しく思います。
ちなみに手組み制作したホイールは制作後長く使っていますが一切トラブルが起きていませんし、中華カーボンリムも中国から通販で購入しましたが、海外通販の不安感や方法など気になる人にも少しの勇気の一部になれたら嬉しいです。
それではどうぞ!
使用シーンを意識した全体の構想
まずは高級カーボンホイールはどういった構成なのかを知るところから始めました。そしてハブを定評のあるモデルにすれば、絶対的な性能や楽しさ(ラチェット音など)が損なわれることはないと言う結論に達しました。その上でリム側のリム高をどうするかを考えました。Q太郎の場合、地元の山を登ったり河原のサイクリングコースを主なメインステージとしてそれ以外では年に数回草レースに参加すると言うようなスケジュールでした。できる限り普段使いもしたいと欲張りに考えて30~40mm程度の高さが一番バランスが取れているだろうと考えました。
このような使用条件で手組みホイールを組むのに必要なものを一旦リストアップしてみたのが、以下のリストです。
- 前後ハブ
- 前後クイックリリース(ハブに付属している場合があるかもしれません)
- リム(中華カーボン・海外通販予定)
- スポーク
- ニップル
- タイヤ
- リムテープ
- 振れ取り台他工具一式(後序)
- カーボンリム用ブレーキシュー
このパーツリストを作ってみて思ったのが、これまでの普通の自転車ライフでは個別に買うことのないものが多く含まれてい流なぁと言うことです。でも一つ一つ確認していけば問題ありません。このリストを作るのにいろんな方のブログを拝見したり、Youtubeで動画を見たりしてイメージトレーニングを何度もしました。
どのブランドのハブを使用するか?
中華カーボンホイールという表現をしますが、実はハブをどのブランドのものにするかも実はかなり印象に影響があります。工作精度により走行性能に影響があると思われますが、全てのハブを語れるほどの知識は残念ながらありません。個人的な選択のポイントは特に目立つ部分としてリア用のハブから発するラチェット音(駆動中にフリーハブ内で噛み合わさる爪のこと。空転時にカチカチという音がするところ)は意識しました。
有名ブランドのハブであればネットで検索するとyoutubeなどで音を聞くことができると思いますので、一度検索して自分の好みのラチェット音を持つハブを見つけて欲しいです。そこでざっとですが有名ハブブランドを幾つかご紹介しておきます。この他にもいろいろありますので調べてみるのも面白いかもしれませんね。
- クリスキング(CHRIS KING)
- シマノ(SHIMANO)
- フィルウッド(PHILL WOOD)
- ホワイトインダストリーズ(WHITE INDUSTRIES)
- プロファイルレーシング(PROFILE RACING)
この中でQ太郎は「CHRIS KING R45 ROAD RACING HUB」をチョイスしました。ラチェット音の「ギー!」という独特の音はどれにも似ていなくて仲間内でも好みの分かれる音ですし、門外漢には壊れてるの?って思われちゃう様な音がしますが、そう言うところも好きなんです。精度が高そうなイメージがするんです。
購入当時は円高で関税を払っても明らかにメリットがある状況であったために米国の自転車通販サイト「ジェイソンUSA」で購入しました。
どちらかと言うとMTB系のパーツが多い印象ですが、日本にも普通に送ってくれます。箱の様子からもしかしたらバルク品の個別販売なのかな?と言う印象もありましたが、偽物感はありませんし問題ないです。宅配されるタイミングで税関から関税を請求されます。記憶にないですが2000円程度支払った気がします。(余談ですが荷物追跡で調べていたら発注後3日程度で日本に輸入されてたようです。その後2週間近く成田空港に留め置かれてから我が家に来ました。ジェイソンUSAは仕事が早いのかもしれませんw)
ホイールの見た目を決定するハブの穴数
少し話を戻しますが、ハブを決定するときに気をつけなければいけない箇所として、ディスクブレーキ対応ハブなのか、リムブレーキ対応ハブなのか?と、ホイールの見た目を決定する穴の数(つまりスポークの本数)を確認してください。Q太郎の場合はリムブレーキでしたからハブもリムブレーキに対応しているものを購入しています。
またスポークの本数がホイールの剛性を左右するとも言われています。この辺りの詳細の解説は「自転車探検!」さんが相当詳しいです!ホイールに限らず自転車の工学的な見地を高めてくれるサイトで本当に勉強させていただいていますw
スポークにテンションをかけていくことでリムの振れ幅を限りなく0に近づけるため(あくまで個人的な意見ですが)微妙な振れ幅を調整するときに本数が多い方が調整はしやすいはずです。1本1本のスポークが受け持つ範囲が小さくなるためスポークの本数が多ければ多いほど微妙な調整が効きやすいと考えます。ただ多ければ管理しなくてはいけない本数も増えるので煩わしさも増えてしまっては元も子もないので自分のやる気と仕上がり後の見た目など総合的に判断して決めてください。ちなみにQ太郎はF:20/R:24でした。
中華カーボンリムの穴数とハブの穴数を合わせる
希望のハブとスポークの本数が決まったらリム側を決定します。ディープリムのカーボンリムは現在では中華カーボンリムはコストパフォーマンスのいいものがゾロゾロある印象です。Q太郎は中国から個人輸入でリムを購入しましたが、日本国内でも購入は可能でしょう。
アリババなどのマーケットプレイスではなくメーカー直販サイトのようでした。フレームやリムはもちろんのことハンドルなどロードバイクやMTB用カーボン製のパーツをかなり扱っていました。
クリンチャーかチューブラーか
当然ながらリムを決定する際にはタイヤのタイプを検討する必要があります。クリンチャーかチューブラーかの選択が必要です。ちなみにチューブレス(レディ)の中華カーボンリム単体での通販はQ太郎は見つけられませんでした。単純に見つけられなかっただけかもしれないのでご希望であれば一度じっくり探してみてください。
Q太郎自身はチューブラーを選択して購入しました。当然ですが、ハブと穴の数を合わせることを怠らないようにしてください。中国のメーカー直販サイトで日本への個人輸入は可能かとメールをしたら問題ないとちゃんと?英語で案内をくれたので信じて購入しました。
カーボンリム自体は非常に状態も良い印象でした。一部に樹脂が入り切っていないように見える部分もありましたが、繊維だけになっているわけでもないですし何の問題もないでした。ちなみに中華カーボンリムを購入する時にチョイスするのが「カーボンの束の本数」「樹脂がマットか艶有りか?」を選択する必要がありました。好みで選びましょう。
そして下の写真は中華カーボンディープホイールに必要なパーツ一式です。
スポークの組み方にも種類がある
スポークの組み方にも実は種類があることをご存知でしょうか。ここの理解が手組みホイールを完成に導く上で一番の峠かもしれません。ペダルで起きた力をチェーンを介してハブに伝わったらスポークがリムを引っ張る様になるスポークが組まれていることが重要です。もしも反対に組まれていたらスポークでリムを押す方向に力が伝わって(ようは力が抜けて)しまい本来の性能が出ません。最低限そこは押さえた上でそれぞれの見た目の特徴と挙動を考えて組み方を決定して欲しいです。※挙動や組み方についての具体的な話はまた別の機会にお話しできればと思います。
- イタリアン組み
- JIS組み
ハブのフランジ部から出てきたスポークがリムに到達する方向が左右両方とも同じであるイタリアン組みは回転に方向性があります。(つまりトルクがかかる方と掛からない方向がある)ことを理解してください。
ハブのフランジ部から出てきたスポークがリムに到達する方向が左右で逆になっているのがJIS組みです。この場合、どちら向きに組まれていても回転に方向性がありません。
トルクが伝わらない組み方
上記で書いた通りスポークがリムを引っ張る方向に力が伝わることでリムが回転しますので引っ張れない構造にスポークを組んでしまうとトルクが伝わりませんので注意をしましょう。(駆動輪ではない前輪であればその様な組み方もあります。)
設計図を描くとわかりやすい
やはり自ら設計図を描くことが大変重要です。ネット上にある組み方を参考にしてください。交差するスポークがどの様に交差するのかもこの段階で確認しておく様にしましょう。下の図の様に赤や青など色分けするとどこまでで1セット(この図では4本で1セット)かが一目瞭然になり便利です。
どの形式のスポークにするか?
スポークにも種類があります。普通の丸棒で作られているスポークと平たいきしめん状(エアロ形状)のスポークとあります。
スポークの長さを確認する
スポークには組み方があることをお伝えしました。そのため当然ですが、ハブのフランジ部の直径とリム内寸だけではスポークの長さはわかりません。リムもハブも必要な情報は購入するサイトに記載されているはずです。下記サイトでスポークの長さを判断できるので購入予定のハブとリムの情報を入力してスポークの長さの判断をしてください。(いずれまた別の記事で詳細をご紹介したいと思います・・・)
振れ取り台やその他手組み用工具の購入
この辺りまで進むと手組みするための工具も必要になってきます。普通は持っていないけど手組みホイールには必要な工具を列記します。
- 振れ取り台
- リムセンターゲージ
- ニップル回し
- スポークテンションメーター
振れ取り台
この台にホイールを設置してニップルを締めていくことスポークの張りを調整したり左右のブレを修正する作業を行うので常時使用する工具です。
ニップル回し
リムとハブをスポークを介してピンと張る上で必要なニップルというネジを締めていく際に使用します。スポークをうまく回避する様な構造になっていて使いやすいです。サイズが複数あるのでちゃんと確認した上で購入する様にしてください。
リムセンターゲージ
リムセンターゲージはリムの中心軸上にハブが来ているのかを確認したりハブの横方向の吐出量を確認したりする重要な定規です。すべてのスポークが正しいテンションで張られている限り正しい位置にハブが来ますがそうでない場合何をやってもズレてしまいます。
テンションメーター
スポークの張りを確認する測りです。正しい位置にハブがあり左右にリムが振れない状況である場合に正しいテンションになるのですが、初めて作業をすると『これ以上テンションかけて大丈夫?』と感じるほど強くテンションがかかります。でもテンションメーターで測ってみると規定値をはるかに下回っていることがあります。テンションの欠け具合を理解するためにも大変重要な測りです。
実際の組み方
実際に作業を行う時に最も重要なことは「どの穴にスポークが入れば良いのか?」を正しく理解できているか?です。序盤にお話しした通り設計図を描いて順序を間違えない様に進めていく様にしてください。ここからは個人的なやり方ですが、組み方によって変化がありますが、数本のスポークで1セット、それが何セットで一周するかを確認することが必要です。1セットずつ組んでいく人もいると思うのですが、Q太郎は全セットの1本目、2本目・・・という様に同じ機能を持つスポークを先に入れていく方法を取りました。これだと必要セット数分の同じ作業を行えば良いので、間違いが起きにくいと言えます。「1本目を入れたら、1セット◯本だから◯+1本分先の穴に次の1本目を入れたら良い」という様な具合です。
紙で筒を作ってみるとリム内部にニップルを落とさない
ニップルをねじ込む時にはディープホイールの場合は外側からスポークに差し込んでいくことになります。そのため最初は外側からニップルを挿入しますが、不用意に入れるとリム内部に落としてしまいかねません。そのため台湾のホイールメーカーの工場制作風景の動画を参考に紙の筒を制作しました。この円錐状の筒を使っていれば万一ニップルを落としても外に排出できます。
振れ取り台の使い方
振れ取り台にホイールを設置したのちに回してみましょう。最初のうちはのたうちまわる様にグニョグニョブレブレのはずです。適当に締め上げていくことで段々フレが少なくなっていくことが体感できると思います。その後に振れ取り台に設置されている棒をリムの位置にギリギリに調整してどちらに触れているのか判断していきましょう。フレが少なくなっていくに従って間隔を狭めて行けば良いでしょう。
この棒に接触する位置のスポークかもしくは付近のスポークを締め上げる様にしてください。リムが左に振れているなら右側に繋がったスポークを締める様にすると間違いありません。途中でセンターが出ているのか定規で確認することも忘れない様にしてください。写真のはまだまだスポークがたわんでいるので振れているのが当たり前です。
スポークのテンションは規定値内に収める
上記の作業を続けているといずれ上下左右へのフレが収束していきます。大体フレがなくなった段階でテンションメーターを使ってみてください。規定値に達していたら問題ありませんがそうでない場合はたとえフレがない状態でも締めていきましょう。仮に乗れる状態だったとしても乗っているうちにズレが強く出てしまうことがあります。規定値になることを目指してフレを取っていきましょう。
タイヤ装着後に鉛の重りを取り付けて高速回転でのバランスをとる
規定値内にテンションを納めた上で上下左右への振れを収束させることができたら、タイヤを装着してテストライドをしてみましょう。問題ない状態であることが判明したら数キロ〜数十キロのテストライドにも出てみましょう。その後、タイヤが装着された状態のホイールを振れ取り台にセットしてみると完成直後よりも大きくフレが出ているはずです。その状況で再度調整してみましょう。可能な限り振れ取りができたら高速で回転させてみると縦方向にガタガタと揺れてくると思います。その状態でフレが出ている反対方向に鉛の板を設置させると上下運動を軽減させることができる様になるはずです。高速走行時の安定性向上にバランスをよく撮る様にしましょう。
日々のメンテナスが長持ちの秘訣
さて、文字情報が多くわかりにくかったかもしれませんが、以上です。先にも述べた様にアマチュアの工作好きが行った作業ですので作業自体はもっとわかりやすい方法があったかもしれません。しかし完成後長く使えているしフレを取るメンテナンスを日々しっかりと行っていれば自作だから危険という様なこともなく安全に楽しめています。皆さんも一度チャレンジてみてください。